4. ベイエリアにおける望ましい地域物流システムのあり方
この章では、大阪ベイエリアにおける望ましい地域物流システムのあり方をマクロ的な視点から示す。当該地域の課題に対して、現在の地域物流システムの考え方に対応した形で、当該地域において望まれる地域物流システムのあり方を提案する。
具体的な地域物流システムのあり方の内容については、次章で神戸地区をモデル地区として検討する。
1) 企業の物流効率化に対するベイエリアの課題
企業の物流効率化は企業自身の投資により進めていくものであるが、それを阻害する要員が今日のベイエリアでは存在する状況となっている。
阻害要因に対する今日の大阪ベイエリアの課題として5点を以下に挙げる。大きくは、物流効率化を進めるスケールメリット、情報化の課題、物流用地等インフラ提供面、機能提供面、さらには、環境等の面から挙げる。
(1) 京浜地区に比べ劣るスケールメリットヘの対応
一般的に物流事業者が物流の効率化を図る場合、スケールが大きいほど、効率化を図りやすい。したがって、ある程度、物流の効率化を進めるためには、ベースとなる貨物量が必要であることは言うまでもない。従来、阪神工業地域として位置づけられてきた当該地域では、重厚長大関連の貨物が多数存在し発生・集中してきた。しかしながら、現在、神戸港等における国際物流ハブ機能の停滞、京浜地区の国際物流拠点を介した国際物流経路の存在、さらには、わが国における当該地域の相対的経済地位の低下等、京浜地区に比べ貨物量の規模が相対的に小さくなっている。例えば、国内貨物量等をみると、京浜地区の貨物量は、当該地域を含む西日本全体の貨物量と匹敵する。
このため、従来、有していたスケールメリットを再度確保・拡大を進め、また、効率化するための新機軸の導入等を率先的に進めることが必要である。
・物流効率化にはある程度のスケール性が必要
・京浜地区を介した国際物流経路の存在
・国際物流ハブ機能の停滞、未展開
・当該地域を含む西日本貨物量が京浜地区の貨物量と匹敵
→西日本、一部アジアを取り入れたハブ化
新規荷主企業の誘致
情報化、規制緩和等積極的な導入・展開
(2) 高度化する企業間取引に対する物流情報機能の強化
デジタル革命と呼ばれるように、世界中で現在、情報技術を活用した生産、流通革命が進展している。わが国でもサプライチェーンマネジメントがメーカーで一般化する等、企業間の取引における情報化が拡大してきている。