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このため、今後の物流機能はこれら環境変化に対応する必要がある。しかしながら、当該地域のような中小の物流事業者が多い地域では必ずしもこれら急激な環境の変化に対応しきれていないのが現状である。

今後、これら環境変化が地域に与える影響は次の通りである。

1]物流企業に与える影響

3PL化可能な企業とそうでない企業との物流サービス提供の水準、受注量等のギャップが拡大する可能性がある。3PL化できない理由は、情報化資金力の問題、商品・生産物流ノウハウの欠如等である。これら3PL化が図れない中小物流業等は弱体化が進み、すなわちこれら企業が集積する地域物流ポテンシャルを低下することに成りかねない。従って、当該地域においては、今後、集積する中小物流業のボトムアップが必要である。

2]荷主企業に与える影響

荷主企業にとって、物流等一連の事業の高度化は今後の必須条件である。今後の大きなビジネス潮流であるサプライチェーンマネジメントや輸入物流の増大は、今後、自社の物流を一層高度化させていく必要に迫られる。その際、有力な3PL企業をパートナとして組むことが望まれる。これに応えるためにも、当該地域等において有力な3PL企業を育成していく必要がある。

 

3. 国内外における海陸空物流システム事例とその示唆

 

当該地域が有する海陸空物流ポテンシャルと新たな物流システムへの対応が積極的になされている企業、地域がある。この取り組みを当該地域のポテンシャルの活用方向の参考にすることは有意義である。

1]シー&エアについて

多モードの接続性については、わが国での事例の特殊性、また海外での取扱貨物量の減少傾向から大きく展開する可能性は低いものと考えられる。ただし、島嶼部の生鮮貨物の空港を経由した都市部出荷等の小型シーアンドエア等は考えられる。多モードの選択性についてはわが国の製品においても多モードの選択性を活用した物流のパターンがみられることから、荷主企業、物流業にとってニーズがある物流システムと言える。

2]3PL事業の展開について

米国では3PL事業の先進地域であり事業として本格化している。今後、わが国においても3PL事業が一層展開していく可能性が高い。米国では3PL事業において事業規模や輸送手段を有することが事業に優位であるのではなく、物流ノウハウの強みの発揮が重要な経営資源となっている。このため、物流ハード施設を有さないノンアセット系の企業も積極的に3PLマーケットに参入している状況にある。

 

 

 

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