日本財団 図書館


(4) 数値波浪モデルの精度の推移

(ア) 数値予報精度の検証

Fig.30に示されているとおり、初めて外洋波浪モデルが導入された1977年時点には、4層北半球モデルであった。その後の数値モデルは進展を続け、1988年のCOSMETS導入と共に運用が開始されたGSM、ASM、JSMでは、空間分解能が細分化され、更に鉛直方向についても高分解能となり適切な取り扱いが行われるよう改善されている。その結果、海上風の予想精度が向上してきた。

気象庁予報部(1997)によれば、ルーチン的に行われている毎日の検証は、モデルの基本的な予報精度あるいは誤差特性を評価するもので、地上気圧、850、500および250hPaにおける高度場、風、気温および湿度などの数値予報結果を客観解析場やゾンデ観測に対して検証している。同部では、数値予報結果の利用上の注意点としての観点と、数値予報モデルの改善と言う観点から、精度の検証を行っている。例えば、Fig.33に示した北半球モデル・全球モデル(GMS)の二乗平均誤差(RMSE)の変遷をみると、1995年現在の72時間予報の誤差は、1988年以前の48時間予報の誤差と同程度であり、この10年間で予報精度が1日向上していることが分かる。

 

092-1.gif

Fig.33 北半球モデル・全球モデル(GMS)の二乗平均誤差(RMSE)の変遷

気象庁の全球モデル(1988.3〜)および北半球モデル(1983.3〜1988.2)の北緯20゜以北の500hPa高度場の二乗平均平方根誤差(RMSE)。客観解析に対する各予報時間の誤差の大きさを表す。期間は1984年3月から1995年4月までで、太い実線は24時間予報、破線は、48時間予報、細い実線は72時間予報を表す。横軸に平行な線は、1年間の平均値を示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION