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また、格子系をポーラーステレオ投影面上の正方格子から緯経度格子(球面座標)とし、格子間隔を381kmから若干細分化して2.5度(約250km)とした。この結果、かつては表現されなかった南半球からのうねりの伝播など遠来のうねり表現が可能になり、さらにその伝播経路も大圏コースを通るようになり、より現実的になった。

近海波浪モデルについても緯経度格子系を採用し、格子間隔を127kmから0.5度(約50km)と大幅に細かくしたことから日本近海域のより詳細な表現が可能になった。沿岸波浪モデルについては、計算領域を拡大して近海波浪モデルと同一にそろえた。格子間隔は従来同様0.1度(約10km)と高解像度になっている。計算方法等については、従来の沿岸波浪モデルと同様に診断的なモデルである。沿岸の波浪分布については、海上気象課波浪現業作業においてマンマシンシステムで解析された結果を基に沿岸波浪モデルの計算値を補正し、“ガイダンス”化されたデータとして提供されている。数値波浪モデル(外洋および近海波浪モデル)を駆動する海上風や摩擦速度等の物理量は、気象の全球モデル(GSM)計算値の3時間積算値よりそれぞれの格子位置に換算して用いている。一方、沿岸波浪モデルを駆動する海上風のデータについては領域モデル(RSM)の計算結果を参照でさる領域に対しては51時間先までRSMの計算値を内挿して用いている。さらに日本の担当海域の台風周辺の風については、予報課が作成する6時間ごとの熱帯擾乱データによる台風の位置・中心気庄等を基に傾度風を算出して48時間先まで補正を行っている。

 

(イ) システムの概要

波浪予報業務では、数値波浪モデルの運用、波浪の実況解析および予想を行っており、作成された情報はFAX図やGPV(格子点資料)の形で気象官署や船舶、民間気象事業者等(気象棄務支援センター経由)に配信されている。

COSMETS更新に伴い導入された「波浪解析・予想システム」では、従来の手書きによるマニュアル解析・予想作業をEWSを使った対話型のマンマシンシステムとし、ディスプレイ上に表示した各種波浪関連データを用いて波浪の解析や予想の修正を行い、さらに解析・予想結果の配信および保存までを一貫してEWSで行うようになったことにより業務の改善が図られた。また、システムの導入により情報作成および配信の迅速化とともに従来は困難であったマニュアル解析(予想)結果の数値化が可能となり、客観的な精度評価等を行えるようになった。

 

 

 

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