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Fig.28 減速計算(SRA)プログラム出力の例

(大型コンテナ船・自動車専用船・大型タンカー)

 

この例の場合、天候条件は20ノットの風および同一方向からの15フィートの波であり、他方向からの波やうねりはないという条件である。その結果が、風波に対する相対的な船首方向について平水船速に対する百分率の形で示されているが、これによると同じ天候条件でも船種により風と波からうける船速への影響が大きく違うことがよく分かる。

SRAプログラムは船舶の大きさおよび形状によって鋭敏に影響されるため、気象データはきわめて正確でなければならない。SRAプログラムは特に、船舶の長さに対する相対的な波の方向および波の周期に対して非常に敏感である。

波の周期における誤差(予報または解析)によって、SRAプログラムで計算された船舶の速度には大幅な誤差が生じる可能性がある。しかし、波の周期は測定や解析または予測が最も困難なものの一つである。したがって、風速および風向また波高と波向が正確に解析され予報されたとしても、波の周期の誤差によってSRAプログラムの船速予測精度が不十分となる可能性がある。現在の数日間先までの典型的な予報精度では、SRAプログラムによる船速予測の結果は、現在まだH-カーブによる場合よりも大幅に優れているとはいえない。SRAプログラムを使用する場合にコンピューター処理時間は、H-カーブを使用する場合よりも数倍多くかかるため、通常の船速予測の手法としては、現在でもH-カーブが使用されている。

 

 

 

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