・コンピューターによる速力・位置の推定
(ハワーズ曲線とSRA: Speed reduction algorithm)
適切なWRSを提供するためには、ルート・アナリストは船舶の現在位置および航海に影響を及ぼす主要な気圧系との関連で将来の船舶の位置を推定することが必要である。船舶から報告された位置から、船舶の航行速度と遭遇した天候状態および今後遭遇する可能性がある天候状態等を考え合わせて、現在位置の、また今後到達すると考えられる位置の推定を行うことができなければならない。
これは人間の手で行うこともできるが、多くの船舶が同時にルーティングを受けている場合には非常に時間がかかる作業である。それでは全船舶に対してタイムリーな航路推薦を行うことはできない。したがって、ルート・アナリストが主として天気予報とルートの選択に集中することができるように、グリッド化された風および波の数値予報を入力すれば(あるいはアナリストが予報に同意しない場合は、自分自身で修正した値を入力することにより)、推薦航路(あるいは可能な代替ルート)に沿って船舶の減速量を求め位置推定を行うコンピューター・プログラムが開発されている。それは、ハワーズ曲線およびSRAの2種類の減速計算プログラムである。他に、table 45のようなプログラムが開発されているが、現状では事後の検証用等に利用されている。ここでは、主に推薦航路の選定に使用されている、ハワーズ曲線およびSRAについてその詳細を説明する。