あるWRS団体では、以前は、波浪予測を独自に予測を行っていたが、最近では、1996年に導入された気象庁の全球波浪モデルが本格的に運営され、このプロダクト利用されつつある。
シミュレーションの実行には最低10日間の予想値が必要であるが、現在十分な精度が得られていないため、5日以降のデータは統計値によって補完される。過去30年間の蓄積された気象・海象データから当該期間のデータが類似法によって選択される。抽出されたデータと波浪推算より得たデータを結合させ、その一連のデータを使ってシミュレーションを行う。予想値は毎日更新され、予想が的中している期間では、提供された情報は適切と判断される。しかし、予想に変化の兆しが現れたときは、その都度船舶の現在位置からシミュレーションを実行し直す。
シミュレーションにより選定された航路を参考として、ルート・アナリストによる出港地別の基準航路の選定が実行される。これは、低気圧経路、低気圧の発達程度等を高層天気図と照合させて検討したり、高波高域の生成海域および移動等、パターン化した一連の資料を参考に船種、船型別の航路を決定する作業である。基準航路が選定された後、船舶からの希望事項や積荷の特殊性、到着時間等を勘案し、さらに船体の動揺、スラミング、レーンング、海水打ち込み等が最小となるような最適航路が契約船舶ごとにルート・アナリストによって選定される。
(イ) 推薦航路の選定に用いられるコンピューター・プログラム
現在、コンピューターによる数値気象予報は、4〜5日予報の範囲を越えても十分に正確であって、この予報だけに依存できるというような水準にまではまだ到達していない。現在、熟練したルート・アナリストがNWPモデルによって作成された予報を解析し、モデルの計算結果に含まれていることが判明している誤差を取り除き、モデルが把握しきれていない気象の状況を洗い出し適宜修正を行っている。
コンピューターだけでは一貰して十分満足できる予報とルート選択を行うことはできないが、コンピューターはルート・アナリストがWRSを提供する際の意志決定についてきわめて重要な役割を果たしている。次に示す、のコンピューター・プログラムはこのために開発されたものの一例である。