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5.2 日本国内における船舶CO2発生量

 

ここでは、マクロな燃料消費量から算出される船舶からのCO2排出量と陸上排出量との比較を示すことで、CO2削減対策の必要性を概説する。

国内におけるCO2発生量について、table 44に示した。IPCCへの報告量のうち運輸部門の占める割合は、20%程度であり1990年以降、割合・絶対量ともに微増している。運輸部門の内訳としては、自動車が90%を占めているとされており、船舶分はわずか3.1%と推計されている。

運輸部門に関してのCO2削減の具体的方策としては、自動車を中心に交通機関単体技術によるエネルギー消費効率の向上および低公害機関の普及、貨物輸送全体のエネルギー消費効率の向上が、挙げられている。

しかし、内航船舶単体からのCO2削減策に関して本格的な検討が行われていない。例えば、環境庁編の地球温暖化対策技術評価検討会報告書においては、内航船舶の輸送トン当たりの排出単位は21.6×10-6t/トンマイルであり、将来に渡って改善が見込まれていない。運輸省内の検討においても、例えば「運輸部門からのCO2排出抑制のためのガイドラインおよび推進方策の策定に関する調査」委員会の報告書によれば、輸送原単位は、自動車の585.8kcal/トンキロが2000年度には、573.lkcal/トンキロに改善されることを盛り込んでいるのに対して、内航海運の原単位146.9kcal/トンキロ(≒27×10-6t/トンマイル)の改善は盛り込まれていない。仮に、モーダルシフトを行った場合には、内航海運の輸送トンキロ増はそのままCO2排出量の純増に繋がる計算になっている。

 

table 44 日本国からのCO2発生量(電力配分後)

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日本国政府;IPCC 第二回通報、第三回通報などより作成

 

 

 

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