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運航量の増加を考慮しない場合、高船齢船の更新により年間燃料消費量は微減と推定された(table 40)。船種別に見ると、タンカーではその傾向は著しい。運航量の増加を見込んだ場合には、高船齢船の更新の効果があったとしても年間燃料消費量は横ばいもしくは微増傾向になると予測された(table 36)。船種別に見ると、特にコンテナ船で増加傾向が顕著であった。これは、近年のコンテナ取り扱い量の増加が著しく、その延長上線で運航量の増加を見込んでいるため、今後コンテナ船の運航量が大きく増加すると設定していることによる。高船齢船の更新と同時に10〜20%の減速航行を想定した場合には、年間燃料消費量は導入直後に著しく低下し、以後微減と推定された(table 42)。

 

4.1.5 CO2排出量低減オプションの実施体制

 

陸上排出源についてはCOPにおいて、炭素税、排出権売買等の政策的オプションについて検討が進んでおり、シカゴやロンドン市場においては自主的にCO2排出取引制度を創設する動きがある。しかしながら、これらの動きを国際的にどのように取り込んでいくのかについては、今のところ明確になっていない。

国際海上交通についても同様の枠組みを適用することが理論上は可能であり、陸上排出源の取り扱いに関する今後の国際機関の動向について十分注意を払っておく必要がある。

 

4.2 問題点および今後の課題

 

(1) 燃料消費量の計算

現時点では実運航速度、実燃費、小型船・高齢船の稼動状況等、現実の運航実態に関する情報が不足しており、特にコンテナで不明な点が多い。よって、現状をより的確に反映した燃料消費量の将来予測のためには、これらについて詳細な情報収集および解析が必要である。なお、小型船・高齢船は日本発着の運航に従事していることが少ないため、海外での情報収集が必要である。

 

(2) 船舶単体の改善策

IMOでNOx規制が予定されており、熱効率の向上およびNOx発生量の低減を両立させるような技術開発が必要となる。

将来有効と考えられる技術については、その効果および経済性についてより定量的な評価が必要である。また長期的には、代替燃料およびこれを用いる機関の開発など、抜本的な技術開発も必要であろう。

 

 

 

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