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4 調査まとめ

 

4.1 調査結果の総括

 

4.1.1 燃料消費量の計算

 

統計値(Energy Statistics of OECD Countries 1994-1995(OECD/IEA,1997)およびEnergy Statistics and Balances of Non-OECD Countries 1994-1995(OECD/IEA,1997))からバンカーオイルの年間消費量を131.8×106t/y(CO2発生量に換算すると、3.95×108t/y)とした。

外航船舶由来のCO2発生量の削減方法を検討するには、船種ごとにその発生量を把握する必要がある。既存の統計資料に基づき、タンカーおよびバルカー、コンテナ船について年間の燃料消費量の推定を行った。その結果、各船種が占める割合は、タンカーで31%、バルカーで29%、コンテナで33%と推測された。ただし、コンテナに関しては運航実態に不明の点が多く、他の船種に比べて誤差が大きいものと考えられた。

全船舶を積上げた上記の燃料消費量計算結果は、前述の年間燃料消費量統計値と概ね等しいものであった。この場合の平均航行日数は原油タンカーで300日程度、コンテナ船で250日程度であることから、現状をほぼ再現できているものと考えられた。

 

4.1.2 船舶単体の改善策

 

機関単体の熱効率は1990年代までに20%程度向上したが、ここ数年は横ばいであった。今後、燃料噴射の電子化などにより2サイクルで4〜6%、4サイクルで4〜8%向上する可能性があるが、熱効率の向上とNOxの排出量はトレードオフの関係にあり、排ガス規制動向によっては改善が低く抑えられる可能性があることに留意する必要があるものと考えられた。一方、船型の改良により、過去20年程度の間にエネルギー消費原単位は15%程度向上した。今後も船型の改良で最大5%程度向上する可能性がある。また、波浪中で抵抗増加の少ない船型の開発実用化が望まれる。

技術的に将来有効と考えられるものには、フィン、PBCFなどの付加物、二重反転プロペラ、船底塗料(ただし有機スズ系を除く)など、既に一部実用化されているものもあるが、広範な普及にはコスト面での問題が残されている。

 

4.1.3 運航による改善策

 

運航面における改善策として、減速航行とウェザー・ルーティング・サービス(WRS)に着目した。

運航速度を10%下げた場合、同じ距離を輸送した場合の運航時間の増加を差し引いても燃料消費量は10〜20%削減されることが期待される。ただし、減速航行には高速化を望む現在の社会ニーズには必ずしもそぐわないという面もある。

 

 

 

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