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このため、シカゴ市場あるいはロンドン市場などでは、自国内の企業を対象に自主的なCO2排出権取引制度を創設する動きがある。ただし、今後この市場内によって取引されたクレジットがCOPの作る枠組みに適合するかは全く解らない。COPでは、締約国会合の下に何らかの管理機関;administrative bodyを置き数値目標の割り当て、排出枠の発行、モニタリング、排出権のトラッキングを行うものと予想される。

陸上においてもエネルギーの下流消費者であり、割り当ての困難な運輸部門に対する排出権割り当ては困難と言われている。たとえば、トヨタ自動車がオーストラリアの植林の共同事業によって排出権を確保する事業を予定しているが、これはあくまでも自動車の製造過程で発生するCO2発生量に対する排出権であり、自動車が利用する過程で発生するCO2発生に対する将来的な担保ではない。

 

ただし、陸上分野で余剰が予想される排出権を、海運業界またはIMOが自主的に購入することは、排出権の割り当てが行われていない現状においても理論的には可能である。

 

 

 

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