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数値波浪モデルではないが、参考までに数値気象モデルである北半球スペクトルモデル(NSM)および全球スペクトルモデル(GSM)精度の推移について比較した資料があるので、これをFig.19に示した。

 

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Fig.19 北半球モデル・全球モデル(GMS)の二乗平均誤差(RMSE)の変遷

気象庁の全球モデル(1988.3〜)および北半球モデル(1983.3〜1988.2)の北緯20゜以北の500hPa高度場の二乗平均平方根誤差(RMSE)。客観解析に対する各予報時間の誤差の大きさを表す。期間は1984年3月から1995年4月までで、太い実線は24時間予報、破線は、48時間予報、細い実線は72時間予報を表す。横軸に平行な線は、1年間の平均値を示す。

 

これによると、1995年現在の72時間予報の誤差は、1999年以前の48時間予報の誤差と同程度であり、同じ誤差を許容するならばこの10年間で予報可能期間が1日向上していることが分かる。

 

(イ) 波浪予報の今後

数値予報モデルの精度はかなり向上してきており、予報可能期間の長短は観測データの質によるところが大きくなってきている(気象庁、1997)。しかし、従来、波浪の観測値は目視によるものがほとんどで品質に大きなバラツキがある(市成、1998)。また、その75%が一般船舶によるものであり、海域によりそのデータ数は大きく偏っている(羽島、1991)。また、WRS団体等への聞取り結果によると、最近は日本籍船において人件費の削減から船員数が減少し、船舶からの観測データの通報数は減る傾向にある。

一方、地球観測衛星の発達に伴い信頼できる波浪観測値(海上風、波高、波浪スペクトル)を定常的に供給されるようになりつつあり、これらのデ一タを同化1の技術開発が世界各国の研究の主要テーマとなってきている。(市成、1998)。

 

1観測データをモデルに取り込む処理過程のこと。気象庁では、データの品質管理、各格子に対する内挿処理、重力波によるノイズ除去を行う初期値化に第一推定値の提供までを含めて、同化と呼んでいる。

 

 

 

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