Fig.8およびFig.9に示される古い明細書から得た高船齢船の燃料消費率は、タービン船を含むものである。このため、新造時の燃料消費量で見た場合でも20-32万DWTのタンカーの一日当りの燃料消費量は、およそ半減していることがわかる。
さらに輸送効率を比較するため、日当たりの燃料消費量をDWTで割った値で比較したものをFig.9に示した。Fig.9でも輸送効率の向上は明らかであり、それぞれの年の輸送実績をもとに加重平均を行った場合、1970年に新造されたタンカーと1990年代に新造されたタンカーでは、平均20%程度の輸送効率の向上が見られる。
以上の新造時における燃料消費量の検討を踏まえて、船型船齢カテゴリーごとの現在の燃料消費量を算定する。
まず蒸気タービン船については、DE主機への換装が行われていると考えられる。これらの古いタンカーについては我が国では登録されていないため、主機換装などの変更内容および実施時期は把握困難である。そこでタービン主機船は、全てディーゼル主機船に換装されたものと仮定した。船舶明細書からタービン主機のデータを除き、DWT階級ごとに近似式を求めたものをFig.10に示した。船舶明細書で把握できない32万DWT以上のULCC船については、一ランク小さな船型の近似式を用いて推定した。
設定された航行速度および、一定の平均DWTをFig.9で求めた燃料消費量の推定式に代入し求められる燃料消費量をtable 22に示した。同表は、同じDWTのタンカーを各年代で建造した際に、新造時においてどの程度の燃料消費量を差異があるかを示している。