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1.4 調査結果の概要

 

1.4.1 船舶からのCO2排出量に関する調査

 

(1) CO2排出量算定方法についての調査

統計値よりバンカーオイルの年間消費量を131.8×106t/y(CO2発生量に換算すると、3.95×108t/y)と推定された。また、世界のトンマイル輸送実績を、船型船齢ごとの運航速度を設定することで、カテゴリーごとに割り振った。

 

(2) アンケート調査

船舶明細書に記載された燃料消費量に、実航行速度、荷物積載率および機関単体の経年劣化を見込んだモデルを聞き取り調査などにより作成し、両者の組み合わせから船種船型船齢ごとにトンマイル輸送量あたりの燃料消費量を算定した。1970年代に製造された船舶と1990年代の同船型の船舶をトンマイル当たりの燃料消費量で比較すると、後者が70〜80%程度低燃費であると評価された。

 

(3) 船種ごとおよび運航形態毎のCO2排出量の算定

年間の燃料消費量に各船種が占める割合は、タンカーで31%、バルカーで29%、コンテナで33%と推測された。ただし、コンテナに関しては運航実態に不明の点が多く、他の船種に比べて誤差が大きいものと考えられた。

全船舶を積上げた上記の燃料消費量計算結果は、前述の年間燃料消費量統計値と概ね等しいものであった。

 

1.4.2 船舶単体の改善策に関する調査

 

機関単体の熱効率は1990年代までに20%程度向上したが、ここ数年は横ばいであった。今後、燃料噴射の電子化などにより2サイクルで4〜6%、4サイクルで4〜8%向上する可能性があるが、熱効率の向上とNOxの排出量はトレードオフの関係にあることに留意する必要があるものと考えられた。一方、船型の改良により、過去20年程度の間にエネルギー消費原単位は15%程度向上した。今後も船型の改良で最大5%程度向上する可能性がある。

技術的に将来有効と考えられるものには、PBCF、二重反転プロペラ、船底塗料(ただし有機スズ系を除く)など、既に一部実用化されているものもあるが、広範な普及にはコスト面での問題が残されている。

 

 

 

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