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1.4.3 運航の改善策に関する調査

 

運航面における改善策として、減速航行とウェザー・ルーティング・サービス(WRS)に着目した。

運航速度を10%下げた場合、同じ距離を輸送した場合の運航時間の増加を差し引いても燃料消費量は10〜20%削減されることが期待される。ただし、減速航行には高速化を望む現在の社会ニーズには必ずしもそぐわないという面がある。

WRSによる航行時間の短縮効果は、例えば北太平洋航路(速い船で横断に10日を要する)において1航海当り5〜10%と推測された。今後、利用可能な観測データの量・質の向上が見込まれており、これに伴う予報可能期間の延長によりWRSの効果の向上と普及が期待できる。

 

1.4.4 対策の導入方法の検討

 

(1) CO2排出量低減オプションに関する検討

各船種について運航量の経時的変化から、運航量の将来予測を行い、それに基づく年間の総燃料消費量を推定した。

運航量の増加を考慮しない場合、高船齢船の更新により年間燃料消費量は微減と推定された。運航量の増加を見込んだ場合には、高船齢船の更新の効果があったとしても年間燃料消費量は横ばいもしくは微増傾向になると予測された。高船齢船の更新と同時に10〜20%の減速航行を想定した場合には、年間燃料消費量は導入直後に著しく低下し、以後微減と推定された。

 

(2) CO2排出量低減オプションの実施体制に関する検討

陸上排出源についてはCOPにおいて、炭素税、排出権売買等の政策的オプションについて検討が進んでおり、シカゴやロンドン市場においては自主的にCO2排出取引制度を創設する動きがある。国際海上交通についても同様の枠組みを適用することが理論上は可能であり、陸上排出源の取り扱いに関する今後の国際機関の動向について十分注意を払っておく必要がある。

 

 

 

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