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1.3 調査の内容

 

本調査では外航船からのCO2発生量を取り扱い、内航船舶、港湾内の荷役用船舶、漁船、港湾荷役機械からの発生量は取り扱わないものとした。これらの排出量については、UNFCCCを批准している日本国政府としての削減目標があり、目標に対しての削減策についても総合的に検討されているためである。

なお、COP3においては、地球温暖化物質としてCO2に、CH4、N2O、HFC、PFC、SF6の5物質を加えた合計6物質についての削減目標を設定している。このうち、外航船舶の運航に起因する要素として、CH4については、低負荷時における機関からの排出および原油タンカーからの蒸散量が、HFCについては冷蔵コンテナの冷媒として用いられる代替フロンのリーク分が、相当量あることが予想される。しかし、本調査ではCO2排出量およびその削減対策を主として取り扱うものとした。

 

1.3.1 船舶からのCO2排出量に関する調査

 

(1) CO2排出量算定方法についての調査

世界全体からのCO2排出量は、バンカーオイルの積み出し量より機械的に計算されるが、積み出し地と実際に消費される航路が必ずしも一致しないため、地域毎の排出量あるいは船種ごとの消費割合は、把握できない。地域毎・船種毎の燃料消費量の算定方法について検討を行い、荷動き量から推定する方法を中心に必要なパラメータおよび文献値などについて整理を行い、これらの算出方法の精度について検討を行った。

 

(2) アンケート調査

(1)で考えられるように、地域毎あるいは船種ごとのCO2発生量を算定するためには、運航量当たりの燃料消費量を正確に推定することが、数値の精度を高めることになる。

本年度は、日本船舶明細書に記載の燃料消費量を網羅的に調査し、燃料消費量のカタログ値が過去10年間に推移したか、船種、船型ごとに整理した。また、日本船主協会などにオペレーションのモデル化などについて聞き取り調査を行い、世界で一律の運航モデルの構築を行った。

 

(3) 船種ごとおよび運航形態毎のCO2排出量の算定

(1)の算定方法に基づき、(2)のアンケート結果や統計資料を用いることで、船種および運航形態毎のCO2排出量について試算を行う。試算においては、日本支配下船隊の船舶名称などから、船型、機関の型式、年式、船齢、などによるクラスごとに、船舶明細書に記載の燃料消費量、積載重量などから算出されるカタログ上の燃料消費量より算出される仮想的な燃料消費を設定した。

 

 

 

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