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表3.6.1-2 衛星によるデータの特徴

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(3) 今後の展望

 

全球レベルでの海洋観測が盛んに行われるようになりつつある一方で、沿岸域におけるCO2濃度の継続的な計測はまだ実施されておらず、沿岸域がCO2のシンクとして機能しているのか、ソースとして機能しているのかさえ明らかになっていない。沿岸域は陸域からもたらされた有機物が分解すればCO2の放出に、栄養塩が生産に利用されればCO2の吸収に働く。これと関連して、陸域・沿岸過程と地球規模変動に対する応答は重要なテーマである。陸からの物質供給が人類活動に伴ってどのように変化しているか、それが沿岸過程にどのような変化をもたらしているか、海面上昇が海岸の土地利用にどのような影響をもたらすかなど、いずれにしても我が国の重要なテーマの一つである。

今後は、沿岸域における観測システムの構築が必要となる。最近では、リモートセンシング技術の進歩に伴い、相当量の情報が得られるようになってきているが、塩分濃度や動物プランクトンの計測については、今後の技術開発が必要である。また、CO2センサーやイオン濃度センサーの開発も重要な課題である。特に、生態系や海水の化学成分(CO2、炭酸系、栄養塩)などの自動連続観測技術は、地球環境モニタリング、海洋環境修復の評価、CO2吸収評価などの基礎であるが、いずれも自動連続観測技術は未開発であり、計測の標準化、確度の維持(標準試料の維持・管理)は技術開発と産業創生の基盤になるものである。

 

 

 

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