(2) イルカのコニュニケーション
鯨類は水中での生活に適応して聴覚および様々な音声に関する行動を発達させてきた。鯨類のなかでもイルカ類に焦点を当て、音声コミュニケーションを中心に、音声行動の機能と発達についての研究がなされている。
3.5.3 沿岸・沖合養殖システム(先端漁業)
(1) 概要
「獲る漁業から作り育てる漁業へ」漁業の将来像を展望する場合に常に引き出されるキーワードである。人口増加に伴う食糧問題において、水産資源は重要な食糧資源である。しかしながら、「獲る漁業」だけでは十分ではなく、「作り育てる」漁業が不可欠であるがことは従来から認識されており、その1つとして、海洋牧場の開発が知られている。ここでは、現在の海洋牧場開発で必要とされている要素技術を列挙し、今後の展望を概観する。
(2) 先端漁業の研究開発の現状
要素技術としては、以下のような技術の開発が行われている。
・音響給餌(馴致)システム:音で魚群をコントロールし、給餌及び保護する。
・稚魚のふ化育成技術
・人工魚礁:鋼製魚礁、電着藻礁など
・海中の環境整備技術
海中緑化システム:
・魚の住環境整備の一環として、太陽光を海底に送る。
・海中林造成技術
・魚群の行動観測・解析
その他、監視レーダー、観測ブイ、海洋観測衛星も含めた情報の収集・応用などが含まれる。
(3) 今後の展望
各種要素技術の開発も重要であるが、育てるべき生物の生態を知ることが極めて重要であり、例えば前述の鯨観測などの技術が応用可能と考えられる。また、魚群の解析手法において、物理のシミュレーションが利用されるなども行われており、生態系と他分野との類似性に着目した技術開発が行われていくものと考えられる。