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サバの腸内細菌からクローニングされたEPA合成遺伝子群が導入された海洋藍藻シネココッカスから脂肪酸の抽出が行われ、通常の藍藻では見られないEPAが発現していることが確認されている。微細藻類を利用した生産系では、抽出物には悪臭が伴わないため商品化においても有効である。遺伝子組み換え技術の応用により、可食性の藍藻でのEPAやDHAの生産も可能となる。

 

3] キチンとキトサン

キチンは,カニやエビなど甲殻類の外皮を構成する成分であり、キチンを濃水酸化ナトリウムで加水分解することによりキトサンが得られる。キチンとキトサンも、DHA,EPAと同様に多様な生理活性機能をもち、活発に研究が行われている。表3.4.4-2に、キチンおよびキトサンの生理活性機能を示す。国内のキチン・キトサン研究会を始め、キチン・キトサン国際会議が3年毎に開催されている。

 

表3.4.4-2 キチンおよびキトサンの生理活性機能

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以下に、キチンおよびキトサンについて、それらの生理活性機能を利用した応用化研究例を示す。

 

a. 植物活性化剤

キトサン溶液からなる植物活性化・土壌改良剤「農園倶楽部」が市販されている。キトサン溶液は、植物病害菌に対して抗菌性を示し、植物自身の免疫能力を高める働きもする。さらに、土壌中で分解されて窒素源となるために、農薬や肥料の低減化を可能とする。

 

 

 

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