(3) 今後の展望
バイオテレメトリーは、広大な海に生息する生物の観測に有用な手段と考えられる。このバイオテレメトリーにおける今後の課題は、小型多情報送信機の開発である。送信機の小型化により、対象生物へのプローブの影響も減り、対象生物が拡大するものと考えられる。
また、海中の生物(例えば鯨)に対しては、対象生物が海上に浮上した際にデータを人工衛星に送るようになっているので、海中でのリアルタイム観測はできていない。今後は、海中データ通信技術と通信の中継基地としてのブイやプラットフォームなどを利用した海中での通信ネットワークの普及およびその海中ネットワークと衛星も含めた総合的なネットワーク構築により、海中生物のリアルタイムテレメトリーの開発が可能になると考えられる。
[参考文献]
・青木一郎・竹内正一編「漁業と資源の情報学」恒星社厚生閣刊(1999).
・細川繁、富田秀穂、林友直、“鯨生態系観測ミッション”、電子情報通信学会学術研究報告、97、69(1997).