3.3 ロボティツクス
3.3.1 海中ロボット
(1) 概要
近年の地球環境問題や資源問題等の認識の高まりから、海の役割に対する再認識が求められている。この際、水中活動や水中技術の発展と理解は必要不可欠なものとなっている。水中活動を支える根幹が海洋(水中)ロボットと考えられている。海洋ロボットは、1] 有人潜水艇、2] 有索無人ロボット、3] 無索無人ロボット、に大別される。我が国では、「しんかい6500」という世界一級の有人潜水艇が存在する。また、海底を走行したり、曳航するタイプの有索無人ロボットも数多く開発されている。海底ケーブルの埋設やマンガン団塊集鉱等では、海底面の牽引型のロボットが開発されている。
一方、世界各国で開発が行われてはいるものの、ミッションを遂行して有効な結果が得られていない分野が無索無人ロボットである。無索無人の海洋ロボットの代表例は、自律型海中ロボット(AUV : Autonomous Underwater Vehicle)である。自律型海中ロボットは、有人潜水艇、有索潜水機(ROV : Remotely Operated Vehicle)と共に、海洋の広域探査の手段と考えられている。AUVは、有人艇とは違い緊急時には廃棄可能なため、安全であり、かつ、ROV等とは違い索の拘束を離れているため、広くて深い海中の観測手段として高い期待がよせられている。
(2) 自律型海中ロボットの現状
これまで日本で開発されているAUVを表3.3.1-1に示す。現在、実用機として設計され稼働中であるアールワンロボットについて、その特徴を表3.3.1-2に示す。
また、平成15年までの研究計画で、現在JAMSTECが長距離(数千?)航行型のAUVの開発を始めた。JAMSTECによるAUVの電力は、燃料電池とリチウム・イオン電池とのハイブリッド方式を用いている。
・航続距離:300km
・最大深度:3500m
・パワー:燃料電池/Li電池イオンハイブリッド
・排水装置
・CTDセンサー
・通信:音響コマンド