このため、改善の効果を高めるためには、生物体を餌として系外へ運び出す魚類や鳥類の利用、漁業を考慮した検討が望ましい。
干潟・浅場造成による環境改善のメカニズムを模式的に図-3.1.7に示し、改善される内容と技術の長所、問題点、課題を以下に整理した。
■改善内容
・底泥中および表面に生息する底生動物の摂食によって有機物を除去する(水中の有機物量の削減)。
・底泥中および表面に生息する微小藻類、海藻草類の光合成によって栄養塩を除去する(水中の栄養塩量の削減)。
・魚類、鳥類の採餌によって底生動物などを系外へ運び出す(有機物の系外への移出)。
・微生物による有機物の分解、脱窒(有機物の無機化、大気中への放出)。
■改善技術としての長所
・安定した生態系を形成することができれば持続的に環境改善を行うことができる。
・親水機能、生物の生息・生産場としての価値が付加される。
■問題点、課題
・期待できる効果や、効果を維持するために必要となる管理などの予測が困難。
・効果的な改善のためには、生産された生物体が鳥類の採餌、漁獲等によって陸域に取り上げられることが望ましい。