ここでは、各海湾におけるこれらの汚濁状況とその原因、生物への影響を検討し、各海湾における汚濁の特徴を整理した。検討にあたっては、汚濁の影響が最も顕存化する夏季を対象として、各海湾の鉛直断面及び平面を模式化し、そこに底質の状況、地形、流れ、流入負荷、風などの特性や干潟や藻場の分布状況を示した(表-2.1.3、表-2.1.4、図-2.1.3)。
検討の結果、代表4海湾における生物の死滅や生息域の減少を招く主たる原因は、貧酸素水塊や青潮(苦潮)であり、夏季には、有明海を除く3海湾の湾奥部を中心とした広い海域で底生生物の生息を脅かしている。貧酸素水塊の発生には成層構造の発達、弱い流れや環流の存在、海湾の形状、赤潮の発生に伴い死亡したプランクトンの沈降による下層でのDO消費などが様々に関係しているものと考えられる。各湾における主な発生原因を表-2.1.5に整理した。