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浅場の割合は有明海、東京湾、三河湾で、また干潟割合は有明海で大きく、大阪湾、伊勢湾はいずれも小さい(表-2.1.2)。生物の生息場として重要な干潟、浅場が多く存在しているのは有明海、三河湾、東京湾であり、これらの海湾では、生物の生息環境が良好な状態で維持されていれば生物体として負荷を貯留する効果が期待できる。

 

表-2.1.2 干潟、浅場面積の状況

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注) 浅場は干潟域を含む水深5m以浅の海域

 

次に、水質浄化の重要な機能のひとつである栄養物質の生物による取り込みについて検討する。まず、生息水深別の生物量を魚種別漁獲量から類推すると、図-2.1.2のようになる。ここでは、イワシ類などの回遊魚を浮魚、カレイ類など移動力の小さい魚類を底魚、貝類や水産動物などを底生生物として漁獲量の変遷を示した。大阪湾と有明海では極端な違いがあり、浅場の少ない大阪湾と干潟、浅場の多い有明海の海湾の地形的特徴をそれぞれよく反映した生物構成がみられる。過去の漁獲状況と比較すると底生生物の減少は、干潟や浅場が多く残されている東京湾、三河湾で顕著であり、環境悪化に伴い生物構成が大きく変化していることがうかがえる。また、漁獲量が生物の状態をそのまま反映しているとはいえないが、大阪湾では底生生物が極端に少なく底生生物による浄化機能は小さいと考えられる。

 

 

 

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