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さらに、選定された技術の適用方策は、時間的、空間的な規模を考慮した戦略的なものである必要がある。特に、貧酸素や赤潮等のように季節によって変化が生じる現象に対しては、適切な時期の選定が必要である。空間的な規模については、わが国のように沿岸域が高密度に利用されている現状を勘案すると、着手可能な規模についての配慮も求められる。局所的な汚濁については、その原因を効果的に除去する工学的手法を適用することが望ましい。生態系や物質循環システムの機能を維持・強化するためには、できる限りいくつかの技術を複合的に用いるような多様な戦略が必要である。

 

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図-1.2.3 改善技術の選択の考え方

 

なお、環境改善技術の適用が、物質循環システムに及ぼす効果やその影響の時空間規模等を、現状解析で用いたモデルで予測し、それを技術の選択にフィードバックさせることが望ましい。

 

(4)海洋環境改善後の環境モニタリングによる効果の検証

事業実施後の環境が「環境改善の目標」とした状態を達成できているかどうかをモニタリングによって検証する。その際特に、改善事業の効果が物質循環システムのどの部分にどの程度表れたのかを把握することが重要である。

ここで主に取り扱う環境改善は、生物生息場の修復、もしくは生物の生息を脅かす汚濁要因の抑制を目的とするものであり、モニタリングの項目としては、生物の生息状況、生息環境を把握できるものを抽出する(表-1.2.5)。ただし、生物機能が発揮されるには、一定の時間を要することから、できるだけ長期的に生物や生態系の復元過程を追跡することが必要である。

 

 

 

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