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表-1.2.4 物質循環に関する観測項目

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注) C (Carbon): 炭素、N (Nitrogen): 窒素、P (Phosphorus): リン

 

(2)海洋環境改善の目標の設定

海洋環境の改善とは、『健全な海洋環境』に修復あるいは復元することである。海洋環境の汚濁の程度は、流入負荷の増大や埋立てなど人為的な要因と地形や閉鎖性など海湾固有の特性によって決定され、その程度に応じて、生物の生息を阻害し、生物量を減少させるに至ることになる。逆にいえば、生物生産が一定の水準以上に維持され、生物の「浄化−生産機能」によって物質循環が円滑に営まれるような状況を達成することが環境改善の目標となる。

すなわち、海洋環境改善は、生物の機能を最大限に利用して自然の物質循環システム全体を修復することを最終的な目標とし、1]失われた生物生息場の修復、復元、2]生物の生息を脅かす汚濁の抑制を具体的に図ることと考えられる。

実際には対象とする海湾の汚濁の実態や生物生息状況などを十分に踏まえて、具体的で実践可能な目標を設定することが必要である。すなわち、物質の円滑な循環を妨げている要因、「浄化−生産機能」で重要な働きをする鍵種とその生息を阻害している要因を実地調査等によって明らかにし、海水交換などによる物理的な浄化機能とのバランスなどを考え合わせた上で、最適で効果的な環境改善の目標とそのための方策を明確にする。

 

(3)改善技術の選択

上述の目標を達成するために最適な改善技術を選定する。そのためには、図-1.2.3に示したように、どの要因を制御するかを検討した上で、その改善効果の現れるまでの時間、持続性や効果の及ぶ範囲、さらにはその費用対効果などを考え合わせる必要がある。また、その技術の導入によって生物の生息環境を人為的に損なうことがないよう十分に配慮する必要がある。

 

 

 

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