物質循環の変化を量的に把握するためには、生物量や摂餌等による取込量などを調査することが必要となる(表-1.2.2)。
表-1.2.2 生息場の変化状況の把握に必要な調査項目と検討内容
3]生物の生息を脅かす汚濁状況の把握
生物の生息を脅かす貧酸素水塊、青潮、赤潮、底質悪化などについてその原因や影響の程度、持続期間、さらにはどのような形で生物の生息を脅かしているかを的確に捉える必要がある(表-1.2.3)。
表-1.2.3 海洋環境汚濁の把握に必要な調査項目と検討内容
注) COD (Chemical Oxygen Demand): 化学的酸素要求量
海湾における環境汚濁のメカニズムを理解するためには、対象海湾できめ細かな実地調査を行うことが重要であることは言うまでもない。それに加えて、既往の継続的な環境モニタリングのデータを有効に活用することが必要である。しかしながら、季節的な変化、台風などのイベント、特殊な条件(限定された場所や微小な環境変化等)下での環境変化をすべて実地調査で把握することは難しく、このような各種の条件の再現を含む汚濁メカニズムの解明には、海湾における内部生産や物質の沈降、分解過程を考慮した富栄養化モデル、物質の循環や収支を解く干潟等の生態系モデルなどによるモデル解析を組み合わせることが効果的である。こうしたモデル解析を可能にするためにも物質循環に関する定量的な情報を実地調査によって取得する必要がある。そのための、観測項目は表-1.2.4のように整理されている((社)日本水産資源保護協会、1999)。
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