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図5.2.2 開先幅と後行揺動幅の関係

 

(2)スラグ巻込みの発生原因と対策

スラグ巻込みの発生現象は次のように説明できる。裏当材であるガラステープが先行アークにより溶融し、先行ビード表面で一旦スラグとして凝固する。その後、後行アークがこのスラグ層を通過する際、十分なアーク熱があればスラグを再溶融し、ビード表面にスラグとして浮上させることが出来る。しかし、後行電流が低すぎる場合や後行電極で溶接しなければならない開先深さ(板表面から先行ビードまでの深さ)が深すぎる場合、アーク熱がスラグ層に十分届かず、スラグを再溶融できないために発生する。

図5.2.3にスラグ巻き込み発生のメカニズムを図解で示す。後行電流が低すぎたり、後行溶接時の開先深さが深い場合、後行溶接時に溶融金属がアーク直下に流れ込み、場合によってはアークより前方まで流れ出す現象(溶融金属の先行)が見られる。これはアーク力が溶鋼の重さに抗しきれなくなったためで、アーク直下に溶鋼が流れ込むとアーク熱がスラグに直接働かないためスラグを有効に溶解できなくなり、スラグ巻込みを発生させる

 

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図5.2.3 スラグ巻き込み発生のメカニズム

 

 

 

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