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いま図4.4.4に示すように、溶接トーチ部の移動速度(溶接速度)と自走移動台車の走行速度が同一となるようにアームが伸びれば自走移動車の速度制御も著しく容易となる。船底外板の傾斜度αおよびアームの角度θのとき、溶接速度vと自走移動車の速度を同じにするための単位時間あたりのアームの伸ばし量△Lは、幾何学的関係により次式で表せる。

△L≒v{cos(θ-α)-cosθ}+v2(1-cosα)/L

ここで溶接機に設置した傾斜センサよりαを、アームに設置した傾斜センサよりθを単位時間毎(1秒毎)に計測し、アームの伸ばし量△Lを決定する。

このように傾斜部において、アームの長さ制御を実施することでアームが最大に伸びる時点まで(溶接可能傾斜約45°)の走行速度制御が可能となった。

 

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図4.4.4 アーム伸縮を利用した溶接速度制御機構

 

(2)移動車の操舵制御方式

溶接開先線の多少のずれに対しては、開先ギャップローラとそれによって自由にスライドするアーム旋回テーブルおよび左右移動テーブルが、最適な位置となることで対応できるが、自走移動車と溶接開先線に大きなずれが生じた場合、アームを移動させる2軸だけでは追従に限界が生じついには開先線に追従できなくなる。

よってこの2軸が常に有効ストローク内を移動するように、アーム旋回テーブル、左右移動テーブルの現在位置を検出し、この2軸が原点(有効ストロークの中点)付近に来るように、自走移動車の操舵角を制御することで粗倣い機能を持たせた。

具体的な操舵制御方法については、2.3節と同様の方法を用いている。

 

 

 

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