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6]操舵性能の向上

本装置では前後2輪のタイヤを駆動・操舵させて走行している。前輪操舵を行った場合、前輪のタイヤが横滑りを起こしスムースな方向転換が行えないという問題があることが分かった。

この問題を解決するために以下の事項を検討する。

・操舵時における各車輪の回転速度制御方法の確立

7]検出溶接速度の高精度化

本装置の溶接速度は溶接機の車輪(4輪)の中、前の2輪に取り付けた2つのエンコーダで各々測定している。前2輪のうち片輪が船底外板と接触していない場合、接触していない車輪が廻らないため正確な速度を検出できないケースがある。また、エンコーダは測長距離が0.1mmの分解能のものを採用したが短時間のパルス数検出では正確な溶接速度を測定できないことが分かった。

これら問題を解決するために以下の事項を検討する。

・前2輪の一体化による速度不検出の防止

・エンコーダの高分解能化

 

b. 第1段階のまとめ

 

本研究開発では、自動化が不可能とされていた上向き姿勢溶接部に対して溶接開先内に特殊溶接トーチを挿入し、重力により溶落する溶融金属を溶接トーチと共に移動する摺動銅板で受止め自動溶接を行う溶接方法と共に、溶接中変化する溶接開先、溶接姿勢、溶接線のズレに対して溶接装置自らが検出演算し、自動位置修正、自動溶接条件設定等の適応制御(溶接知能)を考案、試作し性能確認を行った。一方、渠底の凸凹面をレールレスで走行し且つ自らが走行ズレを検出演算し、搭載した溶接装置を溶接装置の指令速度で溶接線に自動追従させる移動車と追従適応制御(走行知能)についても考案、試作を行いモックアップ船体の試験材(水平上向姿勢)で両者の性能を確認した結果、設計通りの性能を得、従来より上向き溶接の課題であった高能率自動溶接が実現した。又、性能確認実験から設計段階で予測出来なかった不具合等も確認され、これらは第2段階での装置改良において改善する事とした。

 

 

 

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