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3.3 実験結果から実用機設計条件結果のまとめ

 

溶接確認実験結果から不具合部、改良必要部及び実用機設計のため、条件のまとめを行い実用機のイメージ図を作成した。

 

a. 不具合および改良必要部

1]傾斜部の溶接施工

第1段階での開発による溶接実験では、ビルジ外板部の傾斜溶接が10°までしか対応していない。次年度では、傾斜部での溶接施工法を再検討する必要がある。またビルジ外板は円弧状になっているので、曲率のある外板部での溶接施工で摺動式水冷銅板の形状等についても再考する必要がある。

2]溶接トーチの改良

本溶接施工法では溶接トーチを開先に挿入する方式であり、今回試作した溶接トーチは強度的に連続使用に問題がある。改善策としては、2電極が分離した状態であるが、トーチ形状を一体型とする、使用材料を高強度のものにする等が考えられる。

3]開先ギャップ幅の変動(短小化)対策

今回の溶接法は、開先内に溶接トーチを挿入する形式であるので、開先幅が溶接トーチ幅よりも狭隘化すると溶接施工が停止する。防止策としてストロングバックによる仮付けの管理が必要であるが、さらに防止策として溶接トーチの前方に開先幅を一定量確保するガイドローラーの設置について検討する。

4]開先倣いの高速化および高精度化

今回製作した溶接装置の開先倣い精度は約1.5mm程度である。溶接施工範囲(許容開先幅範囲)を広くし現場施工し易くするためには開先倣い精度の向上が必要である。また、本機では凹凸走行時、溶接トーチが左右に揺れるのを防ぐために開先倣い制御機構を採用しているが、開先検出時間が約5秒に1回と長いため急激な凹凸に追従出来ない可能性がある。

これらの問題を解決するために以下の事項を検討する。

・開先検出用プログラムの改良による高速化、高精度化

・二次元レーザセンサによる高速化(現状:スポットレーザセンサ)

5]開先倣いレーザセンサの誤作動防止対策

溶接を行うと強いアーク光が発生する。強いアーク光は物体に反射しレーザセンサの受光部に反射する場合がある。レーザセンサがこのアーク光を検知し、正常な開先形状を検出できない場合がある。その結果、開先倣い機構の誤作動を招き正常な溶接が出来ないケースがある。

この問題を解決するために以下の事項を検討する。

・アーク光カットフィルターの採用によるレーザセンサの誤検出防止

 

 

 

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