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2.4 情報表現形式と交換システムの開発

 

先の表2-1に示すように、造舶Webプロジェクトでは、舶用機器に関わる情報の表現形式、すなわち造舶間で交換すべきデータ項目・形式とその交換タイミングの標準化と、その交換を電子的に実現する情報システム開発が、二本の柱である。以降これらを単に「標準化」「システム開発」と呼ぶが、本プロジェクトの実施に当たってはいわゆる「標準化」のための「標準化」、「システム開発」のための「システム開発」に陥いることなく、「造船・舶用相互の仕事のしやすさ」を尺度にして事を進めるよう常に心がけている。

まず、情報表現形式の開発については、前述のように造船所・舶用機器メーカ間、または舶用機器メーカ間における設計・技術情報の電子的交換実現に向けて舶用機器の情報表現形式の標準化を行うものである。平成10年度と同じく、本年度の対象25品目について、造船所・舶用機器メーカ間の審議を通じて、以下の4点で構成される標準化最終案を作成した。

(1) 目標施策体系

(2) テーマ定義表

(3) 企業間新業務フロー

(4) 標準化データ項目

 

なお標準化最終案作成までの検討経過やその結果の詳細については、本プロジェクトの平成10年度報告書と本報告書の第4章及びその別冊「舶用機器25品目標準化最終案」を参照されたい。

標準化最終案は、企業間情報交換の規約であり、参加会社すべてがその協議(ただし舶用側は自社が関係する品目のみ)に参加して最終的に合意したものである。それゆえ参加各社には、他社との情報交換の仕組み作り及び実施にあたって今後はその最終案を尊重・遵守することが求められる。また各社にとっては、この標準化最終案に準拠した形で、情報交換の円滑化やデータ再利用による業務効率の向上を目指すことが、自社のQCD(Quality, Cost, Delivery)の大幅改善を図るための近道でもあると考えられる。

つぎに、システム開発であるが、表2-1の全体スケジュールに示すように、初年度の仕様検討の結果を受け、本年度から実際のシステム(これを造舶Webシステムと呼ぶ)の作り込みを始めている。しかしながら同表にあるように初年度にも仕様固めの一環としてプロトタイプシステムを第4四半期に開発してトライアル実験なるものを行っており、本年度で最終的に開発したシステムを担当者間ではバージョン2.9と呼んでいる。すなわち、昨年度に作ったプロトタイプをベースにまずバージョン1なるシステムを本年度上期に開発し、それを後述の実証実験(表2-2)によるシステム運用の結果をいろいろな立場のプロジェクト関係者が評価し、造舶Webシステムに対するイメージづくりや、また各々の関係者が考えている「システムのあるべき姿」についての意見集約を行った上、以下の基本方針の下、下期前半にそのバージョン2なるシステムを開発し、更に実証実験を行って改良を加え、最終年度である次年度に開発するバージョン3の一歩手前(それゆえバージョン2.9と呼ぶ)までのものを作り、これを「造舶Webシステム試用版」として全ての参加会社に年度末に配布した(本年度の実証実験に参加したのは造船6社、舶用3社のみ;6章参照)。

 

 

 

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