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氷丘脈中における性能の評価は、抵抗試験結果より氷丘脈を突破するのに必要なエネルギーを計算し、この大小により行うこととした。図A-7(a)に氷丘脈中における抵抗の計測例を示す。模型船速度は一定であるから、この抵抗を時間積分し速度を乗じることにより模型船が氷中で消費するエネルギーが計算される(図A-7(b))。中央部分のエネルギーの急激な立ちあがりが氷丘脈中を突破することにより消費されたエネルギーである。各実験結果からこのエネルギーを計算し、氷丘脈の断面積の関数として示したものが図A-8である。図より、船首Cの場合には他の2船首に比べて氷丘脈を突破するのに高いエネルギーが必要となることが判る。これは、氷丘脈通過中の模型船の姿勢変化によるものと考えられる。すなわち、氷丘脈中においては、抵抗が大きいために船首部が大きく持ち上げられ、氷と船体との接触は、船首部の底部近傍において卓越する。船首Cは船底近傍においてフレームラインが立った形状となっており、従って氷から受ける抵抗も大きいものと考えられる。

●開水中実験結果

平水中自航試験結果から求めた自航要素を図A-9に示す。ここでは船尾形状の影響を見るために、船首をAとして船尾を変化させたときの結果を比較している。推力減衰係数(1-t)には船尾による違いは殆ど認められないが、伴流係数(1-w)は船尾bが船尾aに比べて小さくなっている。

 

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図A-7 氷丘脈中の試験結果の例

 

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図A-8 氷丘脈中において消費されるエネルギー

 

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図A-9 平水中における自航要素

 

 

 

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