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これは、一つには、本船が一軸船であり、氷とプロペラの干渉の程度が比較的低かったことによるものと思われる。氷とプロペラの干渉の頻度を示したものが図A-5で、1船長航行する間に起きる氷とプロペラの干渉の回数をフルード数の関数として示したものである。データのばらつきは大きいが、一般に、船尾bの方が船尾aよりも氷とプロペラの干渉の頻度が低いことが示される。これは、船尾bの方が排氷性能、すなわち氷片をプロペラに近づけない性能、が高いことの表れと考えられる。

氷中旋回試験において得られた航跡の例を図A-6に示す。一般に、氷中での旋回径は開水中におけるものに比べて大きく、また、氷海水槽のサイズは限られている。従って、氷海水槽において完全旋回を行うことは困難である。従って、図A-6のような航跡図から、一定距離を航行した時点に於ける初期進路からの横方向への変位量により旋回性能を評価した。各船型による旋回試験結果の違いは、新船型についての試験結果と併せて次項において示す。

 

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図A-4 氷中自航試験から求めたトルク係数

 

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図A-5 氷とプロペラの干渉の頻度

 

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図A-6 氷中旋回試験において得られた航跡の例

 

 

 

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