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氷中における試験としては、平坦氷中における抵抗・自航試験、旋回試験及び氷丘脈中における抵抗試験の4種類の試験を行った。試験内容は以下の通りである。

 

表A-3 平坦氷中試験条件(抵抗・自航試験)

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●平坦氷中抵抗試験

本試験は、船舶の氷中性能を知る上で最も基本的な試験である。表A-1に示すように、本船には水厚1.2mの氷板を3ノットで連続砕氷する能力を想定しているため、これらの条件を中心として試験条件を表A-3のように設定した。試験においては、設定された条件の下、模型船を平坦氷中で曳引し、模型に加わる全抵抗、模型船の運動等を計測した。なお、模型試験に先立ち、模型氷板の弾性率及び曲げ強度の計測(氷質計測)を行った。

●平坦氷中自航試験

平坦氷中自航試験についても、抵抗試験と同様の試験条件に対して実施した。試験においては、設定された条件の下、模型船を氷中で自航させ、軸スラスト・トルク・回転数及び模型船の運動等を計測した。また、自航試験においても、模型試験に先立ち、抵抗試験時同様の氷質計測を行った。

●平坦氷中旋回試験

平坦氷中での旋回試験は、設計条件である、氷厚33.3mm(実海氷厚1.2m)の氷板に対して行った。舵角15度と30度の条件に対して試験を行った。

●氷丘脈中抵抗試験

ロシア沿岸の北極海における氷の運動は活発であり、様々な種類の変形氷が形成される。

この中でも氷丘脈は船舶の航行にとって最も大きな障害となる氷況である。このため、水槽実験においても各種の大きさの氷丘脈を水槽内に作成し、これらの中を模型船が通過する時の抵抗を計測した。

一方、開水中における試験としては、平水中における自航試験、操縦性試験及び波浪中試験を行った。各試験の内容は以下の通りである。

●平水中自航試験

開水中巡航速度である16ノットに相当する1.37m/sを含む、0.50〜1.70m/sの速度範囲の条件について試験を行った。試験は、船首をA船首として、これに船尾2種類プロペラ2種類を組み合わせたA-a(CP)、A-a(NP)、A-b(CP)、A-b(NP)の4種類の組み合わせについて行った。

●平水中操縦性試験

平水中において、旋回試験、逆スパイラル試験、ジグザグ操船試験の3種類の試験を行った。試験は、船尾をa船尾、プロペラを通常型プロペラとして、船首を変えたA-a(CP)、B-a(CP)、C-a(CP)の3種類の組み合わせについて行った。

●波浪中試験

正面向き規則波中において自航試験を行った。波浪中スラスト増加並びにスプレーインクの挙動に対する船首形状の違いの影響を評価することを目的として、船尾をa船尾、プロペラを通常型プロペラとして、船首を変えたA-a(CP)、B-a(CP)、C-a(CP)の3種類の組み合わせについて行った。波浪条件は、波高をベーリング海の冬期平均波高4.07mとして波長・船長比を0.75から2.00へと変化させた。

以上の試験に加え、伴流計測並びにプロペラ単独試験も行った。

 

 

 

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