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現代の時間スケールは、ヴァスコ・ダ・ガマの時代に比べれば、遥かに短いが、南方航路啓開の経緯は、一つの商業航路確立には、かなりの年数を要することを示唆している。やがて開かれる航路として、それぞれの関係分野で研鑚を積み、弛まぬ関心と努力とが肝要である。

特に我が国には、徳川時代の鎖国による北方域への無関心政策の後遺症があり、加えてロシアとの過去の不幸な国際関係の影響が色濃く残存し、北方海域への関心が伝統的に薄く、学術面でさえ、事ありての対症療法的対応で凌いできた経緯が見える。大戦の負の遺産を21世紀に持ち越さないためにも、四辺を海に囲まれた海洋国日本は、NSR啓開の機運を契機として、国際協調、国際貢献の中で、国益を遵守しつつ、学術的にも、海運業、水産業、さらには外交面においても、北方海域に対する基本方針を抜本的に見直す時がきている。

 

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