一般には、Ice Numeralと船速の関係は、航海実績から求められるが、シミュレーションに用いる3船型のIと船速の関係を本シミュレーションでは理論的に求めた。計算にはINSROPプロジェクトで開発したNEWSIM2(WP-155)と呼ばれるコードを用い、種々の氷況下における船速を計算した。NSR以外のバレンツ海、ベーリング海の一部にも海氷が存在し航海速度が低下することを考慮する必要がある。AARIが提供したデータセットにはこれらの海域の氷況データは含まれていないので、近接するNSRのデータから外挿し氷況データを推定し、船速を求めた。開水中は、表4.4-4に示した一定の速度で航行できると仮定した。
図4.4-4に50BCの計算例を示す。あるIce Indexに対する氷況の組合わせは多数あるので、Ice Indexのある値に対する船速は、ばらつきを示すことになる。ここでは、あるIce Indexに対する船速の頻度分布を5段階の確率で示した。Ice Indexと船速の関係が求まれば、20海里ごとに定義した、ある航路のYY年MM月のデータを読み込めば、図4.4-5に示すようなフローに従い、簡便に船速分布が決定され、あるセグメントの航海時間を計算することができ、これをセグメント毎に繰り返せば、航路全区間の航海日数の分布が計算できることになる。砕氷船のエスコートを受ける時の船速は、砕氷船の船速に等しいと仮定し、Arctikaについて求めた船速とIce Indexの関係から求めた。巻末資料5-2にシミュレーションに用いた3船型と砕氷船の船速とIce Indexの関係を示した。