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NSRの科料(通行料):

NSRを通行するためには通行税を支払う。これには砕氷船のエスコート費用を含んでおり、砕氷船のエスコート時間の長短に関係なく定額である。全く氷がなく、砕氷船の支援を受けることがなくても支払わなければならない料金である。ここでは北極海航路局が提示している最新の値を使った(表4.4-6、WP-128)。通行料は、砕氷能力、季節、NSRの地域により異なりGT当たりの料金として20,000GTまで設定されている。GTが増える程、GT当たりの料金は減じてある。砕氷船の支援頻度が高い冬が夏より安いのも合理性を欠いているように見える。最終的な通行料は、砕氷船を運航しているムルマンスク海運会社との交渉により決定するとの注記があり、この料金表は暫定的なものと考えるべきである。ULAクラスと見做し、外挿しGT当たりの通行料を設定したのが表4.4-5の値である。50BCは砕氷能力が劣るので外挿値の10%増とした。

 

表4.4-6 NSR科料(通行料)一覧

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船速計算のアルゴリズム

コストシミュレーションで、最も重要なことは、さまざな氷に対する船の航海速度を決定することにある。航海速度が決まれば、それに応じて出港から入港までの航海日数が決まり、必要な運航経費が計算できることになる。氷の種類とその密接度を勘案して、航海の難易度から見た氷の状態を、数値指標として表すことを考える。その数値指標と航海速度との間にある関係があれば、氷の状態を表す数値指標から航海速度を推定することが可能になる。これがIce Numeralと呼ばれる考え方で、CASPPRの一つである"Arctic Ice Regime Shipping System Standards"のなかで使われている。Ice Numeralが小さくなるほど、航海の難易度が高い氷況を表し、また同じ氷況でも、砕氷能力の低い船ほどIce Numeralが大きくなる仕組みとなっている。CASPPRでは、Ice Numeralが零の時、おおよそ船速が3ノットになるように較正されている。Ice Numeralが負になると航行が危険な海域と判断される。Kandalakshaの実船試験で得られたIce Numeralと船速の関係を見ると、バラツキはあるもののおおよその速度範囲をIce Numeralから予測できることが解る(図4.4-3、Yamaguchi H., 1995)。

 

 

 

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