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40,000DWT型 砕氷型バルク・コンテナー(40BCと以下略す)

25BCの喫水と幅を大きくし、北航路を対象に喫水12.5mで40,000DWT(重量トン)を確保した。砕氷能力は25BCと同等である。

50,000DWT型 砕氷型バルク(50BCと以下略す)

本船はシップ・アンド・オーシャン財団の北極海航路開発調査研究委員会で試設計した船型である。砕氷能力は3ノットで平坦氷1.2m、平水中の速度は15%シーマージンを含み17ノットである。前記の40BC、25BCが砕氷能力を重視したのに対して、本船は平水中の性能を重視しており、主機出力は平水中の性能により決まっている。推進器はエンジン直結の固定翼プロペラである。

 

氷況データ

氷況データは、AARIが提供した航路に沿った歴史的データを使用した。氷厚、氷の密接度など18項目のデータを20海里の航路セグメント毎に1953〜1990年間の38年間に亘って、各年の月別平均値を整理したものである。データの構成などの詳細は巻末資料5-2に記載した。

 

コストパラメーター

運航コストを積算するためには船の建造費、船員費、燃費、通行料など運航に要する種々のコストデータが必要である。以下の費目に区分し調査した。日本郵船株式会社の協力を得て、現行の運航費の調査を行い、平均的なコストを設定した(表4.4-5)。

資本費:

新造船の建造費と乗り出し費用の合計である。資本費の借入金の金利を7%とし、15年間の元利均等払いで償却するものとし、年間の資本費を算定した。乗り出し費用は建造時の金利、新船用の諸備品等の諸経費で建造費の3%を算定した。

船員費:

25BC、40BCで24人、50BCで25人を想定した。

保全費:

建造後5年目の平均値を年間の保全費とした。使用した値は過去数年間の同等クラスの保全費平均で、修繕費、部品、予備品、潤滑油、その他の保全に関する費用を含む。

保険費:

INSROPでは保険に関する調査研究を行ったが、明確な結論には至っていない。保険業界では仮想的な問題に対しては、保険のマーケットが反応しないことから、INSROPの保険費用の算定は不可能であると結論している。しかしながら、保険業界は新規案件開拓に対しては積極的であり、NSRが保険の対象となることは確実である。また、保険会社はリスクを判断する信頼性のあるデータベースが存在することが必須であるうえに、事故時のサルベージなどの調査資料も必要とする。また種々のアンダーライターに対する要求、疑問に答える必要がある。INSROPのデータは、これらに答えるものであり、一歩保険業界の要求に近づいたと言えるが、より実験的な航海により実績を積む必要があるとINSROPの報告書は結んでいる(Ostreng et al.,1999)。このような背景から、実績値による算定は困難である。ここでは、氷海中はスエズ運河を通行するルートより危険率は高いと考えて算定することにした。保険は、P&I(Protection and Indemnity)と呼ばれる事故による環境汚染に対する賠償と、H&M(Hull and Machinery)と呼ばれる船体・機関の損失に対する保険に区分される。前者は主として船の大きさと積み荷の種類により決まり、後者は船価と事故率から決まる。NSRの事故率に関するロシア側のデータは公表されていない。ここではNSRの事故率が0.1%と仮定し、H&M保険を1.0〜2.9$/GT(総トン)とした。

 

 

 

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