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船首A:比較的単純なV字型のフレーム形状を有する従来型の砕氷船首。

船首B:船首Aよりも凸型のフレーム形状を有するスプーン型船首的な船首。

船首C:喫水線近傍のフレーム形状を船首Aよりも凹型とした船首。

船尾a:やや緩やかなU形のフレーム形状を有するマリナー型船尾。

船尾b:船尾bよりも船底付近のU形を強調した船尾。

模型試験では、これらの船首・船尾を組み合わせて試験に供した。

以下においてはこれらの船型を、例えば船首Aと船尾aの組み合わせの場合、A-a船型のように表す。また、これらの船型と2種類の推進器の組み合わせは、通常プロペラの場合はA-a(CP)、ノズルプロペラの場合はA-a(NP)というように表す。

水槽実験は、運輸省船舶技術研究所(以下、SRI)、NKKエンジニアリング研究所(以下、NKK)及び三菱重工業長崎研究所(以下、MHI)が分担して行った。模型試験にあたっては、上記の各船型に対して縮尺1/36の模型を製作し、上記3機関を持ちまわりながら試験に供した。これらの機関の保有する氷海水槽のサイズ、模型氷の特徴等について表4.1-6に示す。実施した試験項目は以下の通りである。

・平坦水中抵抗試験

・平坦水中旋回試験

・氷丘脈中抵抗試験

・平水中自航試験

・平水中操縦性試験

・波浪中試験

氷中試験においては、模型試験に先立ち、模型氷板の弾性率及び曲げ強度の計測(氷質計測)を行っている。また、開水中試験に加え、伴流計測並びにプロペラ単独試験も行った。

 

表4.1-6 氷海水槽の比較

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上記の試験により、各種の船型について氷中並びに開水中の性能に関する多方面からのデータを得た。これらの試験結果の詳細については巻末資料5-1を、あるいはさらなる詳細についてはシップ・アンド・オーシャン財団の事業報告書を、参照されたい。ここでは、試験結果の代表的な例として、氷中における抵抗試験結果を示す(図4.1-18)。砕氷抵抗は船首形状に依存するところが大である事から、船尾aに対して船首3種類を変えた組み合わせについての試験結果である。なお、船尾の影響を確認するために、A-b船型についても一部実験を行っているが、A-a船型の結果と有意な差は無い。試験結果より、船首Bの抵抗が明らかに低く、優位な船首形状であることが判る。船首Cがこれに続き、従来型の楔形船首形状である船首Aの抵抗が最も高い。

 

 

 

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