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在宅死の場合に、家族の満足感や役割達成感が強いことも確認された。また訪問看護期間が長い場合の方が、再入院後の期間(死を迎えるまでの入院期間)が短かった。これは在宅でのサポートが有効であったことを示していると思われる。しかし、訪問看護婦が緩和ケア病棟勤務経験者であったり、緩和ケア病棟をベースにした訪問看護ステーションからの訪問看護では、最後は緩和ケア病棟に入院する方が良いという考えを基盤にしたアプローチになるため、在宅の可能性を生み出すことに消極的な傾向が見られた。

 

(3)「訪問看護対象者の問題は多様」であり年齢・performance status・医療処置の有無だけが訪問看護導入条件ではない

訪問看護ステーションの実態調査では、かなり医療処置継続者が対象者中に多く見られた。しかし本研究スタッフが行った訪問看護では、HOT(2名)以外は医療処置継続者はいなかった。点滴への依存や安易な留置カテーテルの挿入は行わないなど、緩和ケアの基本的な考え方が、在宅ホスピスケアにも適用されるべきだと考える。

在宅ホスピスケア対象者の条件には、苦痛な症状の出現、症状コントロール不安定および今後も調整が必要、精神心理的問題、家族の問題、生活環境や暮らし方の問題など、多岐にわたる。

 

(4) 「在宅ホスピスケア対象者を退院前に把握するためのツール」開発の必要

在宅ホスピスケア対象者を適切に把握するためには、アセスメント・ツールの開発が必要である。アセスメントのためのチェックリストは、「問題発生の予測」という視点を基本にしたものであり、問題発生以前に在宅ホスピスケアを導入できるようにすることを目的にした内容にすべきである。そうすることでより早期に訪問看護を導入し、安定した在宅生活を保持することができる。

 

 

 

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