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「問題発生予測のためのチェックリスト」には、日頃の看護婦の思考過程が現れる。「予測されるチーム介入」が記入されているのに、フォーカスや予測される危機が記入されていない場合もあった。これはPOS方式の記録の場合にアセスメント欄が未記入であるのに、プランが立っているという現象と共通する問題であると思われる。

このチェックリストの原型は訪問看護ステーションの調査に用いたものと同じであり、Western Reserve Hospice Home Care 部門で、訪問看護対象者のIntake に用いられている様式である。

今後さらにこのチェックリストを改善し、実際に使用しながら訪問看護を実施するという研究を継続したいと考える。

 

<総括>

今回の研究を通して明らかになったことの主な点を以下にまとめた。

 

(1)「個別のホスピスケア実施期間」は平均2ヶ月弱である

平均2ヶ月程度で高齢者の訪問看護に比べて短期間である。したがって対象者の入れ替わりが激しく、したがって重症者が多く、忙しい。さらに、訪問看護ステーションの独立自営を可能にするために必要な対象者数を常時確保するのは、かなり困難である。在宅ホスピスケアの条件を設定し、それに適する訪問看護ステーションに補助金を出すなどの対応がなされなければ、質の高い在宅ホスピスケアが広まることは期待しにくい現状がある。

 

(2) 「在宅死の比率」が在宅ホスピスケアの関わりのある場合に高い

在宅ホスピスケアを主な機能と標傍している訪問看護ステーション対象者の、在宅死の比率が63.3%(厚生省統計 7%)と極めて高い。本研究スタッフが行った訪問看護でも、緩和ケア病棟に入院することを望んでいた対象者が在宅死を迎えることができた例があった。

 

 

 

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