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(2) 訪問看護期間

今回本研究スタッフが、上記の条件をもつ対象者に行った訪問看護期間のうちで、最も短期間の事例は1週間であった。訪問期間が長い事例は4ヶ月で、この2事例については現在も訪問看護を継続中である。その他は1ヶ月が2事例、3ヶ月が1事例であった。2カ所の訪問看護ステーションの実態調査においても訪問看護実施期間の中央値が9週間であったから、在宅ホスピスケア期間はあまり長期間継続される場合が少ないことが、訪問看護実施結果からも分かった。

 

(3) 訪問看護婦に求められる能力

6事例について、各担当訪問看護婦が行った看護内容の記録から「訪問看護婦に求められた役割」を抽出すると13項目あげることができた。また、各スタッフが訪問看護実施記録に記入した「気づいたこと」を併記し、以下の表を作成した。

 

本研究のために訪問看護を行った訪問看護婦の背景についてはすでに述べた。がん看護の知識や経験が深い看護婦と訪問看護の経験者であったが、それぞれが上記の役割のなかで得意な部分と能力が十分でない部分があった。ここにあげた内容以外にも、在宅ホスピスケア・訪問看護を行うために習熟すべき知識や技術がある。しかし、今回の訪問看護実践を通して確認した「役割」や「気づいたこと」は、在宅ホスピスケア・訪問看護のスペシャリストを育成するうえでカバーしなければならない内容であると考える。

 

B. 在宅ホスピスケアを必要とする対象者を退院時に把握するためのツールの開発

訪問看護の役割について、まだ十分に認識されていないのが現状である。また「在宅ホスピスケア」についての定義や規定、基準も定められていない。しかし今回行った訪間看護ステーションの実態調査及び本研究スタッフが実施した訪問看護内容の分析を通して、退院時にチェックすべき内容を把握することができた。

 

 

 

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