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5] 在宅死への対応

本人や家族の不安の程度に応じて、訪問看護婦が滞在する時間や訪問頻度なども調整した。また死亡診断を受けるための往診の手配、家族との別れのための助言、さらに死亡した際の処置の準備などをおこなう。

6] 不安に対するサポート(精神的ケア)

在宅していること自体が不安なのであるが、病状が重症化するにつれて本人および家族の不安が高まる。密接なコミュニケーションや訪問のし方を調整して、サポートを行う。

7] 病識への働きかけ(告知・精神的サポート)

Dさん(経済的理由)やFさん(医療に対する拒否感)のように、病気と向き合うのをさけようとする場合がある。本人の意向を尊重し、あえて病識を正す働きかけを行わなくてもよいと思うが、危険な状態の発生が予測される場合には、きちんと説明し、適切に対処しなければならない。Dさんには、訪問看護婦が自覚症状があることを再認識させて、外来受診を促し、輸血を行った。

8] 心理的サポート(コミュニケーション)

すべての患者に心理的サポートは必要であるが、強い呼吸苦があり、しかも日中一人で過ごすCさんの場合は不安が高い。またFさんは不安を見せないようにしているだけに、内面的な不安との葛藤に理解を示し、心理的なサポートを行った。

9] 喪失悲嘆(患者・家族)への理解とサポート)

A氏自身の喪失への悲哀の言葉をうけとめ、その言葉に反応している妻の心情に理解を示すことで、喪失の悲嘆への関わりを通して、家族の人間関係を改善することもできた。

10] 家族関係の理解と家族のサポート

どの家族にも、その家族の歴史があり、その家族特有の家族関係のあり方がある。それに理解を示して関わることで家族関係の安定をはかることができる。死が近づいて家族の動揺が高まった時にもサポートする。

 

 

 

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