<訪問看護婦の役割>
1] 症状コントロールへの対応(アセスメント・対応)
疼痛、呼吸苦、倦怠感、発作性の心房細動による苦痛、など、ほとんどすべての患者が症状コントロールを行っている状態であった。退院時には症状コントロールができていても、病状の進行にともなって各症状は増悪する。そのために継続的なアセスメントを行い、主治医と連絡しながら、随時与薬量や薬剤の種類の調整を行なう。
2] 病状アセスメント
現状で経過観察していて良いものか、予定外の外来受診や往診を依頼して医師の判断を求めなければならないか、重症化の程度を判断しなければならない。それによって、緊急対応の手配をしなければならなかったり、別世帯の家族と連絡を取る必要があったり、死を迎える場について検討し、その結果再入院の手配をしなければならないこともある。
3] 緊急対応を必要とする状況の判断(病状アセスメント)
例えばA氏の場合は肝性脳症および吐血・下血についてのアセスメント、B氏は発作性の心房細動による苦痛、Fさんの場合は尿管閉塞による腎不全等が発生し始めていると判断すれば、緊急の対応が必要になる。患者と接触する機会が多い訪問看護婦は、医師と連携しながら判断について相談し、対応を検討することで、不必要なパニック状態の発生を避けることができる。また家族にも理解できるよう説明し、不安の軽減につとめるようにする。
4] 医療の場の選択(最期を迎える場)
すでに緩和ケア病棟とつながりがある場合、死を迎える時には緩和ケア病棟に入院すると決めている場合が多い。しかし、A氏の場合のように、症状的には在宅の継続に問題がなく、また緩和ケア病棟とA氏宅の距離がかなり遠く、入院のための移動が本人に苦痛を与えると思われた。また長年悪かった夫婦関係が介護を通して改善の兆候が見えていると、必ずしも緩和ケア病棟への再入院が良いとは限らない。その場合には、改めてどうしたいかを、本人と妻に相談し、話し合って在宅を継続することになった。