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2] 「家族」の初回訪問時およびその後のプロセスにおける問題点はAステーションとBステーションの間でそれほど大きな差は見られなかった

初回訪問時の家族の問題は、図17、図18のように、訪問開始当初および死亡時期が近い段階ともに、両ステーションの間にそれほど大きい差は見られなかった。家族の問題は主に#9. 関係(患者と家族の人間関係で、家族成員としての役割変化に関すること、死別にともなう予期悲嘆、介護者の立場としての家族の役割緊張、社会的な孤立他)、#11自己認識・自己概念(恐怖、不安、無力、絶望、孤独感、他)、#13法的問題・経済(死を迎える場の選択、死の迎え方、葬儀他)であり、緩和ケア病棟の有無に関係がない問題である。したがってAステーションとBステーションの間に相違が出なかったものと思われる。死亡時期が近づくにつれて、家族はより多くの問題に当面する様子が現れている。その時点での訪問看護による家族のサポートのあり方が、自宅で死を迎えられるか否かに影響を与えると考える。

 

<まとめ>

 

訪問看護内容実態調査の考察において以下の点について述べた

1] 各患者に対する訪問看護期間が10週前後が大半でありそれほど長くない。

そのために「在宅ホスピスケア」だけで訪問看護ステーションを運営するのは現状では経済的に困難である

 

2] 在宅ホスピスケアを行った対象者の自宅での死亡率がきわめて高い

 

3] 訪問看護期間が長い患者の場合に再入院期間が長い。

 

4] 自宅で死を迎えた患者に対する訪問看護期間と対象者の年齢とは相関しない。

 

5] 訪問看護開始時の患者・家族の問題

1) 患者の問題はがんの病態に関連することが多かった

2) 家族が抱えていた問題は精神的なサポートを必要とする項目が多かった

3) 退院時に医療処置を継続して行う患者が48%あった

 

6] 初回訪問時問題点のAステーションとBステーションの比較

1) 「訪問看護対象者」の初回訪問時およびその後のプロセスにおける問題点が緩和ケア病棟がない地区のAステーションの方が多かった

 

 

 

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