家族の問題を患者の場合と同じように、訪問看護の経過に添って変化をみてみた。問題発生状況を見るために、初回訪問から第14週までの経過の中での問題発生数および死亡時および再入院日から14週間さかのぼった経過のなかでの問題発生状況(図12)をみた。初回訪問時にみられた問題がその後の14週の経過中に時々増える傾向をみせながら、その状態は死亡時近くまで同じように経過しており、#9.関係や#11.自己詔識・自己概念などの精神的な問題が引き続き存在している状態がみられた。
さらに「在宅死」をした患者の家族について、訪問開始日から14週の経過(図13)をみると、初回訪問日の問題が翌週には落ち着きを見せているが、#11.自己認識・自己概念の問題は継続して存在している。また在宅死の日からさかのぼって14週間の経過を見ると、#9.関係の問題が多くなっている。これらのことから、家族へのサポートは常時必要であると考えられる。
「入院死」をした家族の問題を、上記同様に訪問開始日から14週間の問題の変化をみると、初回訪問日の問題は比較的早く解決している。また再入院日から14週間さかのぼって問題の変化をみてみると、再入院日に近づくにつれて問題が急に多くなっているという現象はみられなかった。
3] 退院時に医療処置を継続して行う患者が48%あった
退院後も医療処置を継続して行う患者は、全体の48%あった。Aステーションでは40%の患者が、Bステーションでは57%の患者が各種の医療を継続して行っていた。(表7)その内容は、中心静脈栄養、留置カテーテル、在宅酸素療法、ストーマ・ケア、創部の処置、胃管、などであった。癌研究会付属病院在宅医療支援室の活動報告では、78%の患者が退院後も医療処置を行っていると報告しているのに比較すれば、本調査における医療処置継続患者の比率は低い。Bステーションの患者は、がん専門病院での治療を受けた後、終末期状態になって退院するため、医療処置の継続がAステーションの患者より多いのかもしれない。しかし在宅ホスピスケアであるからには、中心静脈栄養の要否を入院中から検討することが望ましい。また留置カテーテル挿入も、自宅に帰って生活の幅を広げられるのに挿入しなければならない状態なのかという疑問がある。