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患者に現れた問題を、訪問看護の経過に添って変化をみてみた。訪問看護実施期間は対象者それぞれによって異なるから、問題発生状況を見るために、初回訪問から第14週までの経過の中での問題発生数をグラフ(図6)に示した。また死亡時や再入院時に問題が多くなるのではないかと仮定し、死亡時、および再入院日から14週間さかのぼった経過のなかでの問題発生状況(図7)をみた。

患者の問題は、初回訪問時にあったものが、第二回目の訪問看護ではすでにほとんど解決していることがわかる。また死亡時あるいは再入院時から約1ヶ月前から問題がやや多く現れている傾向がみられる。

さらに「在宅死」患者について問題発生状況を見ると(図8)、初回訪問時にかなり多かった問題が2週目にはかなり解決している。しかし死亡日から14週さかのぼって問題発生状況をみると(図9)、やはり5週間まえから問題増加傾向がみられる。

また「入院死」患者の場合も同様で、初回訪問時(図10)に問題が多くあったものが3週目には解決されている。しかし再入院日からさかのぼった経過における問題発生状況(図11)では、#3 認知・知覚(疼痛その他の症状コントロールに関する問題)が、再入院11週前頃から出現しはじめ、その問題が解決せず、むしろ4週前頃から増える傾向にあり、再入院に至っている。在宅死患者数に比較して再入院患者数が少ないから、数の上で単純に比較することはできない。しかし在宅死患者の方が問題の種類が多いことがグラフの比較で感じられる。問題の種類より、少ない問題でも在宅での対応が困難な場合には入院が必要になるものと思われる。

 

2] 家族が抱えていた問題は精神的なサポートを必要とする項目が多かった

図5のように、家族の問題でもっとも多かったのは#9関係(患者と家族の人間関係で、家族成員としての役割変化に関すること、死別にともなう予期悲嘆、介護者の立場としての家族の役割緊張、社会的な孤立 他)であった。病院のように、医療関係者が常にそばにいないし、問題を共有できる同病者の家族も、家庭にはいない。そのことが退院に際して家族の不安を高め、しばしば退院を渋るという行動をとらせる。

また#11 自己認識・自己概念(恐怖、不安、無力、絶望、孤独感、他)も、患者より家族の方がより強い傾向が見られた。がん終末期の患者と家族の在宅生活を安定させ、QOLの高い生活を送れるようにするためには、家族に対しても適切なサポートを提供する必要性があることが再認識できた。

 

 

 

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