(2) 調査対象患者の背景
年齢:30歳代から最高90歳代までの広い年齢層におよんだが、もっとも多かったのは60歳代(30%)であり、70歳代(18.3%)がそれについで多かった(表2)。
性別:男性(29名、48.3%)と女性(31名、51,7%)がほぼ同数であった(表3)。
(3) がん原発部位:緩和ケア病棟をもっているがん専門病院の診療科が限定されていることが影響していると思われるが、最も多かったのが肺がん(28.3%)であった。胃がん(16.7%)がそれについで多く、以下表4のようであった。
(4) 死亡場所:訪問看護対象者中、自宅で死を迎えたのは38名(63.3%)であり、病院で死を迎えたのは21名(35%)である。(表5)そのうちの15名(71%)が緩和ケア病棟で亡くなっている。一般病院で死を迎えたのは6名(29%)であった。がん患者の在宅死亡率が10パーセント以下である現状と比較すると、本研究対象者中63.3%の患者が自宅死である比率はきわめて高い。入院して亡くなった患者20名中、15名は緩和ケア病棟に入院して死亡し、病院入院者5名中4名は一般病院に再入院して死亡している。(表6)
(5) 訪問看護実施期間:訪問看護で関わった期間は最高77週間(1年6ケ月)と長く、その反面最も短い関わりは1週間であった。これらの極端に長期及び短期の12例をのぞいて平均訪問看護期間を計算すると、11.54週間であった。図1からも、大半は10週間前後が多いことが分かる。訪問看護期間の中央値は9週間である。また自宅で死亡した患者の場合、男性患者の訪問看護期間の方が女性患者の場合より短かった。(図2)
<訪問看護内容実施調査の考察>
「在宅ホスピスケア」推進のための方策を探求するという本研究の趣旨を考え、考察はその研究目的に基づいてまとめた。したがって実態調査で得たデーター分析のすべてについて述べることは、本報告書では省略する。