1. がん終末期患者に多く対応している訪問看護ステーションの訪問看護内容に関する実態調査
2. 本研究スタッフにより行われたがん終末期患者に対する訪問看護内容の分析
B. 在宅ホスピスケアを必要とする対象者を退院時に把握するためのツールを作成し活用の可能性を検討する
C. 在宅ホスピスケアを提供する条件を検討する(専門性の育成、専門性を活用する方法、在宅ホスピスケアのネットワーク)
III. 研究の展開と考察
A. 在宅ホスピスケア・訪問看護に求められている援助内容を明らかにするための調査
1. がん終末期患者に多く対応している訪問看護ステーションの訪問看護内容実態調査
大半の訪問看護ステーションでは、訪問看護対象者の約1割ががん終末期患者であると聞く。今回は在宅ホスピスケアを標傍し、訪問看護対象者の約6割ががん終末期患者である訪問看護ステーション(以下Aステーション と呼ぶ)および緩和ケア病棟から訪問看護を行っている訪問看護ステーション(以下 Bステーションと呼ぶ)の二カ所について実態を調査した。その中から在宅がん終末期患者および家族が当面している問題(訪問看護婦から見た問題点)を明らかにするための実態調査を行った。
(1) 調査方法:各訪問看護ステーション毎に30名の訪問看護対象者をアトランダムに選択した。合計60名の訪問看護対象患者とその家族について、本研究に従事したスタッフが、訪問看護婦に面接調査を行った。調査は、訪問看護プロセスで当面した問題および対応のし方を抽出し、ゴードンの看護診断をもとに作成したアセスメント表(Western Reserve Hospice, Home Care Department, Cleaveland, U.S.A.)(表1)を用いて情報収集し、また分析を行った。